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山形座 瀧波(食事など)

日も暮れて夕食時になり、居心地のよい部屋を出てダイニングルームへ向かいました。



途中にあるロビーラウンジも夜はまた落ち着いた雰囲気があって素敵です。
ロビーでは16時からスタッフによる花笠踊りの実演があるとのこと。
その他、夕食時に提供される蕎麦を社長自ら打つのを見学したり、早朝に近くの山頂に雲海を見に行くツアーがあったりと、山形の良さを知ってもらいたいというおもてなしの数々に好感が持てます。



瀧波の夕食はダイニング「1/365」で、基本的に18時一斉スタートになります。
ライブキッチンさながらのカウンターと個室が選べますが、大人数でなければまずはカウンターを薦められるようです。
おこもり派の私たちは個室と迷ったものの、カウンター席もちょっと楽しそうだったのでそこにしてみました。
そしてこのカウンター席、無機質でシンプルなテーブルと有機的な温かみのあるYチェアの組み合わせが絶妙なセンス。



案内してもらったのはカウンター中央の席でした。
夫はともかくとして、下戸で小食な私が料理長の真正面でいいのかしらと恐縮しつつ(笑)
料理のコンセプトが書かれた説明書きの裏は、各皿のイメージを記したお品書きになっていました。
コースのタイトルは、「稲実始 澄んだ空気横切る頃」。



お酒のメニューも色々ありますが、日本酒好きの夫は「今月のマリアージュセレクション」を選択。
料理に合わせて6種類の日本酒が用意され、グラス80ccと50ccから選べます。



1皿目、「白露 初秋の幸」
いちじくの煮浸しに梅のゼリーというフルーティーな組み合わせです。
どうぞ食べながら、と料理長が食材や料理についてプレゼンテーション。



マリアージュのお酒1杯目。
スタッフがボトルを持ってきて、どんなお酒なのかを丁寧に説明してくれます。



八寸に当たる2皿目は「置賜 郷土の味、糧物」
置賜は山形県の中でもこの辺りの地方を指す名称です。
凍み大根と焼き麩を筍に合わせたもの、マツカサタケというきのこをつかったものなど、郷土料理を中心に。



早くも2杯目。
料理も進むし夫のお酒も進みます。
私は食べるのが遅いので他のお客さんとの一斉スタートは正直心配でしたが、それほど進行が早すぎることもなかったのでよかったです。



そして魚料理に合わせる3杯目、「磐城壽 アカガネ」
東日本大震災の影響で福島県浪江町から山形県長井市に移転した蔵元のお酒だそうです。
夫はこれが一番気に入ったようで、翌日チェックアウト時に四合瓶を買い求めていました。



魚料理は「最上川 置賜から庄内へ」
左から順に、県内の置賜から村山、庄内地方へと産地を巡るという凝った品合わせです。
左端の塩引き鮎のお鮨から、四角いのはモクズガニのゼリー、カジカは頭から丸ごと。
黒ソイのお造りは好みの味付けで。
2番目のオカヒジキが郷土野菜だというのは意外でした。



ここでスタッフがおすすめの日本酒を全員に一口ずつサービス。
錫の酒器で温度にこだわり熱燗にしたもので、極薄口の平らなお猪口で香りを楽しむ趣向です。



アルコールNGの私には、山形の誇るブランド米「つや姫」で作った甘酒を1杯すすめてくれました。
甘すぎず上品な味わいです。



次の料理は「今ここでしか 山形の旬魚、山里の幸」
セイゴ(スズキの幼魚)のソテーに、白茄子の田楽、玉こんにゃく。
ここで料理長から「白茄子と玉こんにゃくのソースは、今が旬の何を使っているでしょう」とのクイズ。
正解者はいませんでしたが、白茄子にはアケビ、玉こんにはいわゆる雑草のヒョウを使っているとのことでした。



アケビとヒョウのサンプル。
どちらも東京ではあまり見かけませんが、ほろ苦いアケビの挽き肉詰めなんて本当においしいのです。
そしてお酒は「山形政宗」が登場。



肉料理に合わせる次のお酒は日本酒らしからぬインパクトのあるラベルでした。
先ほどの「磐城壽」と同じ蔵元で作られたもので、「ゴールデンスランバ」は直訳すると「黄金のまどろみ」。
故郷の浪江町を懐かしむ気持ちと明日への希望を込めた鎮魂酒だそうです。



「山の幸と共に 米澤豚一番育ち」
食用菊である「もってのほか」をもっちりした豚肉で巻いたもの、それとシャキシャキとした歯ごたえも楽しいきのこ類。



箸休めに庄内浜の岩もずく。



ここで二人分ずつご飯を炊き始めます。
蓋の穴から湯気が吹いてきたらお箸を挿してくださいとのこと。



ご飯の炊きあがりを待ちつつ、次のお肉料理の準備が着々と。
1日かけて下ごしらえした米沢牛のブロックをオーブンで焼き上げ、切り分ける前に席を回って見せてくれるスタッフ。
料理長が「イケメンとお肉でSNSタイムですよ」と盛り上げます(笑)



「大地の香り 米沢牛」
イチボと呼ばれる部位で、私の好みよりは少しレア寄りでしたが、とても柔らかく甘くおいしかったです。
お肉にリンゴを挟むアイディアも秋らしく。
ただ例によって小食モード発動で完食はならず、申し訳ない気分でした。
ウコギの天ぷらも、それ自体は好きなのですが、肉料理の付け合わせとしては若干重めかも。



最後のお酒はワインボトルのようなラベル。
長野県小布施のワイナリーが冬の一時期だけ作っている日本酒とのことで、納得のお洒落さです。



「瀧波の芋煮汁」
芋煮会で有名な芋煮汁には、地域によって様々なバリエーションがあります。
こちらは牛肉と里芋、葱、こんにゃくに醤油味の山形県村山地方のアレンジでした。
そういえば明日山形市で日本一の芋煮会フェスティバルがあるんですよ、と料理長。
昔は9月初旬だったのですが、昨今さすがに暑すぎて2週間ほど後ろ倒しになったようです。



「馳走 南陽のお米を土釜で」
ご飯が炊きあがりました。
お米はイチロー選手がここ南陽市の農家から取り寄せていたという「夢ごこち」という銘柄。



真ん中のおいしいところをほんの少しいただきます。



「お楽しみ」として社長の手打ちの十割蕎麦がふるまわれました。
茎わさびと一味唐辛子をおともに。
お腹いっぱいだったのですが、これがまた本当においしいお蕎麦でした。
蕎麦好きの夫も絶賛。



デザートは、かぼちゃのムース、ラズベリーのアイスクリーム、幸水梨とシャインマスカット。
最後の方は少しずつ手を付けるのがやっとで何だか食べ散らかしてしまいましたが、想像以上に楽しいオープンキッチンでの夕食タイムでした。



食後に、先ほど炊いたご飯の残りを塩結びにして持たせてくれます。
形がまん丸なのは、ご縁があるように「縁結び」とかけているため。
翌日の朝食前に夫が一ついただきました。



部屋に戻る前にロビーラウンジでひと息。



ラウンジの横にはお酒が置いてあり、フリーで楽しめます。



コーヒーやお茶も。
私は「クロモジ茶」が気に入って何杯もいただきました。



開放的でありながら落ち着いた空間とさりげないBGMに会話も弾みます。
ラウンジのスワンチェアがまた意外なほど座り心地がよく、他に宿泊客の姿もほとんどなかったので、ついつい夫と二人で長居してしまいました。



翌朝。
やっぱり部屋付きの露天風呂はいいですね。
大浴場も、その外にある大きな岩風呂もよかったのですが、脱衣所がちょっと狭いので部屋の方が落ち着きます。



朝食も夕食と同じダイニングのカウンターで。
いつも温泉ではチェックアウトぎりぎりまでのんびりするのですが、今回は午前中に実家メンバーと合流するので、私たちにしては早めの朝ご飯です。
卵焼きとお魚は、席に着いてから温かいものを出してくれました。



豆からこだわって作り上げたという秘伝豆のお豆腐が一推し。
地元のお母さんといった雰囲気のスタッフが、畑を荒らしに来る熊を猟友会に捕まえてもらった話や芋煮会が混みすぎる話などを他の宿泊客としていて、なかなか面白かったです。



名残惜しいですがチェックアウトです。
電車の時間を伝えたら、駅まで送迎してくれるとのこと。



玄関先に花笠が。
オブジェかと思いきや、外に出たところで「記念写真撮りませんか、花笠持って」と手渡されました。
カメラを渡すと、花笠音頭さながらに「はぁヤッショーマカショ、シャンシャンシャン!」の掛け声で撮影(笑)
最後まで山形愛溢れるサービスで楽しませてもらいました。



駅までは、おそらく先代の社長さん(違ったらごめんなさい)が運転しながら、宿の歴史やリノベーションについて話してくれました。
大浴場の脱衣所が狭いのは、元々1つだったお風呂を男女で分けたからで、本当は一番大きな岩風呂が敷地の奥にあるのだそう。
いずれまた活用したいと思ってるんですが、とのことでした。
リニューアルオープン前に、私たちの泊まったKURA02の露天風呂になぜか男3人で入ってみたのもいい思い出だと(笑)



今度はまた別の部屋にも泊まってみたくなる、のんびりしつつも色々と楽しめる素敵な宿でした。
奥羽本線の車窓から外を眺めると、黄色くなりかけた一面の田んぼが秋の到来を教えてくれ、山形はいいところだなあとしみじみ思います。
今年も新米が楽しみです。


山形座 瀧波
http://takinami.co.jp/

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