category :2020.01 修善寺(あさば)
- No
- 400
- Date
- 2020.02.02 Sun
あさば(館内など)
あさばの客室は新しい畳の匂いがしますが、階段や廊下も厚手の絨毯や畳敷で、どこを歩いても音が吸収されとても静かです。
週末なのでほぼ満室だと思いますが、あまり他の宿泊客の気配は感じませんでした。

「撫子」の部屋のそばから階段を降りたところに2つの貸切風呂。
入口のそばにはさり気なく椅子が置いてあります。

貸切風呂は予約制ではないため、空いていれば中に入り電気をつけて内側から鍵を掛け、いつでも使用可能です。
朝6時頃に見に行ったらどちらも空いていました。

右側の貸切風呂の脱衣所です。
脱衣カゴが2つ置いてあり、タオルがたくさん用意されていました。

洗面台にはブラシや髭剃りなども。

こちらの貸切風呂は四角い湯船です。
シャワーは2つ。
こじんまりとしていますが、とても綺麗に保たれていました。
気兼ねなく使える貸切風呂があるのはいいですね。

お隣の貸切風呂も覗いてみたら、こちらは楕円形の浴槽でした。

貸切風呂のすぐ近くには野天風呂の看板も。
男女入替制で、女性は17時から22時と朝6時から7時半まで利用でき、その前後は男性用となります。
廊下の引き戸を開けるとそこはもう屋外で、階段を下りたところに屋根のみの脱衣所と露天風呂がありました。

身体を洗うためのシャワーやカランはなく、温まるためだけのお風呂です。
脱衣所にも壁や仕切りがないため、さっさと浴衣を脱いで掛け湯をしないと冬はとにかく寒い(笑)
ただ、バスタオルは温熱器で温められておりホカホカでした。
夫が16時頃に行ったら誰もおらず貸切だったとのこと。
それほど広くはありませんがゆったり浸かるには充分で、庭の池と繋がり野趣を感じられる眺めにとても癒されます。

野天風呂の出入口そばの廊下にお水の用意がしてありました。
常温と冷水があるのはさすがの心遣いです。

ロビーへと向かう畳敷きの廊下。
本当に隅々にまで宿る清潔感。

ロビーの華やかな屏風や花のあしらい、広くとられた空間にシンプルなソファと、和洋と新旧のバランスが見事です。

ロビーに面した、センスの良いセレクトショップさながらの売店。
宿で使われている食器類や伊豆の名産品だけでなく、浴衣やお布団なども売られていました。

夕刻、ロビーから能舞台の眺めです。

玄関からロビーの反対側に続く廊下。
その先にはサロンがあります。

白い壁や椅子がモダンな印象のサロン。
壁の棚には写真集や美術書など、知的でアーティスティックな書籍が並んでいました。

ここではコーヒーやお茶を自由に楽しめます。
お酒もオーダーできる模様。

大きな窓からは池と能舞台、宿全景が見渡せます。

窓側の席は特等席ですね。

この日は小雨がパラつく生憎の天気でしたが、日暮れ時に池の水面に踊る波紋を眺めて過ごすのも悪くないと思いました。

あさばでは年に何度か能や狂言、和太鼓などのプログラムが予定されており、宿泊した日は18時から「天城連峰太鼓」の公演を鑑賞できる日でした。
本当は池にせり出した石舞台を使う予定でしたが、雨で濡れてしまったため屋根のある能舞台に変更になったとのこと。
鑑賞も屋外テラスからロビーに変わったものの、演奏が始まったら掃き出し窓を開放するため、ひざ掛けや毛布を全身に何枚も掛けてくれました。
気温5℃ぐらいでしょうか、窓全開でじっとしているとさすがに寒いです。
でも和太鼓の迫力にはとても感動しました。

曲の合間の拍手が遠くからも聞こえたので、池に面した部屋の宿泊客はそのまま部屋から観賞していたようです。
後で仲居さんが、寒いのでサロンでお酒を飲みながら見ていた人もいたと言っていました。
少し遠目でガラス越しのため迫力は薄れると思いますが、それもありかもしれません。

翌朝、朝食後にテラスに出てみました。

能舞台の左手にも小さな滝がありました。
この池や庭や山を手入れするのは大変なことでしょうね。
ご当主が水の循環や流れる音の響きにもこだわって全体を設計し、日々管理されているのだそうです。

テラスへの出入口には、鯉の餌用の麩が。

池には大きな錦鯉が悠々と泳いでおり、人の気配がすると寄ってきます。
口を開けている鯉の近くに麩を投げ入れてもなかなか気づいてもらえず、しばらくしてから急に取り合いになる様子を笑いながら眺めました。
そばにいた番頭さんが私たちの写真を撮ってくれました。

部屋や館内でしばしのんびり過ごした後、チェックアウトです。
ロビーでの精算時に仲居さんから、お渡しした心付けに対する丁寧なお礼が書かれた領収証と、あさばの表門のイラストが描かれた絵葉書をいただきました。
心ばかりの金額だったので逆に恐縮してしまいましたが、嬉しかったです。
ひとまず荷物を預かってもらい、近隣の散策に出かけました。

あさばから歩いてすぐそばの、竹林の小径。
冬でも凛とした清々しさは健在です。

伊豆修善寺の顔である、修禅寺の門。
前日とは打って変わった青空で日差しも暖かく、ちょうど良い散歩日和でした。

門には水仙の花と「立春大吉」のめでたい文字。

1月も後半でしたが、修禅寺本堂へのお参りが事実上の初詣となりました。
穏やかな1年となりますように。

昨夜の黒米ずしが気に入ったので、老舗の新井旅館そばのcafe弘乃で、黒米餅をオーダーしてみました。
香ばしい磯辺焼きと梅昆布茶というほっこりセットに、夫はコーヒーで、おやつ代わりのひと休み。
確かにあちこちで黒米を使ったお菓子やお土産品が売られているようです。

桂川に架かる赤い橋から眺めた新井旅館と独鈷の湯。
昔来たときに立ち寄った蕎麦屋を見かけて急に記憶が蘇ったり、路地の奥にある指月殿で源氏の歴史に思いを馳せたりしながら、ゆるゆると散策を楽しみました。

荷物を預かってもらったあさばに戻り、タクシーを呼んでもらいます。
ロビーで待っていると10分ほどでタクシーが到着。
そこから修善寺駅まで行き、来たときと同じように特急踊り子号で東京に戻りました。
格式高く落ち着いた雰囲気ながら気を張ることもなく寛げて、帰宅してからしみじみといいお宿だったなぁと思い出す、そんなあさばへの宿泊でした。
また別の季節に伺えるように、がんばって働こうと思います(笑)
あさば
http://asaba-ryokan.com/
週末なのでほぼ満室だと思いますが、あまり他の宿泊客の気配は感じませんでした。

「撫子」の部屋のそばから階段を降りたところに2つの貸切風呂。
入口のそばにはさり気なく椅子が置いてあります。

貸切風呂は予約制ではないため、空いていれば中に入り電気をつけて内側から鍵を掛け、いつでも使用可能です。
朝6時頃に見に行ったらどちらも空いていました。

右側の貸切風呂の脱衣所です。
脱衣カゴが2つ置いてあり、タオルがたくさん用意されていました。

洗面台にはブラシや髭剃りなども。

こちらの貸切風呂は四角い湯船です。
シャワーは2つ。
こじんまりとしていますが、とても綺麗に保たれていました。
気兼ねなく使える貸切風呂があるのはいいですね。

お隣の貸切風呂も覗いてみたら、こちらは楕円形の浴槽でした。

貸切風呂のすぐ近くには野天風呂の看板も。
男女入替制で、女性は17時から22時と朝6時から7時半まで利用でき、その前後は男性用となります。
廊下の引き戸を開けるとそこはもう屋外で、階段を下りたところに屋根のみの脱衣所と露天風呂がありました。

身体を洗うためのシャワーやカランはなく、温まるためだけのお風呂です。
脱衣所にも壁や仕切りがないため、さっさと浴衣を脱いで掛け湯をしないと冬はとにかく寒い(笑)
ただ、バスタオルは温熱器で温められておりホカホカでした。
夫が16時頃に行ったら誰もおらず貸切だったとのこと。
それほど広くはありませんがゆったり浸かるには充分で、庭の池と繋がり野趣を感じられる眺めにとても癒されます。

野天風呂の出入口そばの廊下にお水の用意がしてありました。
常温と冷水があるのはさすがの心遣いです。

ロビーへと向かう畳敷きの廊下。
本当に隅々にまで宿る清潔感。

ロビーの華やかな屏風や花のあしらい、広くとられた空間にシンプルなソファと、和洋と新旧のバランスが見事です。

ロビーに面した、センスの良いセレクトショップさながらの売店。
宿で使われている食器類や伊豆の名産品だけでなく、浴衣やお布団なども売られていました。

夕刻、ロビーから能舞台の眺めです。

玄関からロビーの反対側に続く廊下。
その先にはサロンがあります。

白い壁や椅子がモダンな印象のサロン。
壁の棚には写真集や美術書など、知的でアーティスティックな書籍が並んでいました。

ここではコーヒーやお茶を自由に楽しめます。
お酒もオーダーできる模様。

大きな窓からは池と能舞台、宿全景が見渡せます。

窓側の席は特等席ですね。

この日は小雨がパラつく生憎の天気でしたが、日暮れ時に池の水面に踊る波紋を眺めて過ごすのも悪くないと思いました。

あさばでは年に何度か能や狂言、和太鼓などのプログラムが予定されており、宿泊した日は18時から「天城連峰太鼓」の公演を鑑賞できる日でした。
本当は池にせり出した石舞台を使う予定でしたが、雨で濡れてしまったため屋根のある能舞台に変更になったとのこと。
鑑賞も屋外テラスからロビーに変わったものの、演奏が始まったら掃き出し窓を開放するため、ひざ掛けや毛布を全身に何枚も掛けてくれました。
気温5℃ぐらいでしょうか、窓全開でじっとしているとさすがに寒いです。
でも和太鼓の迫力にはとても感動しました。

曲の合間の拍手が遠くからも聞こえたので、池に面した部屋の宿泊客はそのまま部屋から観賞していたようです。
後で仲居さんが、寒いのでサロンでお酒を飲みながら見ていた人もいたと言っていました。
少し遠目でガラス越しのため迫力は薄れると思いますが、それもありかもしれません。

翌朝、朝食後にテラスに出てみました。

能舞台の左手にも小さな滝がありました。
この池や庭や山を手入れするのは大変なことでしょうね。
ご当主が水の循環や流れる音の響きにもこだわって全体を設計し、日々管理されているのだそうです。

テラスへの出入口には、鯉の餌用の麩が。

池には大きな錦鯉が悠々と泳いでおり、人の気配がすると寄ってきます。
口を開けている鯉の近くに麩を投げ入れてもなかなか気づいてもらえず、しばらくしてから急に取り合いになる様子を笑いながら眺めました。
そばにいた番頭さんが私たちの写真を撮ってくれました。

部屋や館内でしばしのんびり過ごした後、チェックアウトです。
ロビーでの精算時に仲居さんから、お渡しした心付けに対する丁寧なお礼が書かれた領収証と、あさばの表門のイラストが描かれた絵葉書をいただきました。
心ばかりの金額だったので逆に恐縮してしまいましたが、嬉しかったです。
ひとまず荷物を預かってもらい、近隣の散策に出かけました。

あさばから歩いてすぐそばの、竹林の小径。
冬でも凛とした清々しさは健在です。

伊豆修善寺の顔である、修禅寺の門。
前日とは打って変わった青空で日差しも暖かく、ちょうど良い散歩日和でした。

門には水仙の花と「立春大吉」のめでたい文字。

1月も後半でしたが、修禅寺本堂へのお参りが事実上の初詣となりました。
穏やかな1年となりますように。

昨夜の黒米ずしが気に入ったので、老舗の新井旅館そばのcafe弘乃で、黒米餅をオーダーしてみました。
香ばしい磯辺焼きと梅昆布茶というほっこりセットに、夫はコーヒーで、おやつ代わりのひと休み。
確かにあちこちで黒米を使ったお菓子やお土産品が売られているようです。

桂川に架かる赤い橋から眺めた新井旅館と独鈷の湯。
昔来たときに立ち寄った蕎麦屋を見かけて急に記憶が蘇ったり、路地の奥にある指月殿で源氏の歴史に思いを馳せたりしながら、ゆるゆると散策を楽しみました。

荷物を預かってもらったあさばに戻り、タクシーを呼んでもらいます。
ロビーで待っていると10分ほどでタクシーが到着。
そこから修善寺駅まで行き、来たときと同じように特急踊り子号で東京に戻りました。
格式高く落ち着いた雰囲気ながら気を張ることもなく寛げて、帰宅してからしみじみといいお宿だったなぁと思い出す、そんなあさばへの宿泊でした。
また別の季節に伺えるように、がんばって働こうと思います(笑)
あさば
http://asaba-ryokan.com/
- category:2020.01 修善寺(あさば)
- No
- 399
- Date
- 2020.02.02 Sun
あさば(食事など)
あさばの夕朝食は基本的に部屋出しです。
夕食時間の少し前に担当の仲居さんが挨拶に来てくれました。
その後、私たちがロビーに出ている間に食事の準備を。

お箸の上に伏せて置かれた小さな豆皿は、食前酒のにごり酒を注ぐためのものでした。
お酒が飲めない私には、代わりに梅ジュース。

ナフキンに包んであった本日のお献立。
ご当主の手書きを印刷したものだそうです。

お酒のメニューに修善寺の地酒があったので、夫はそれを注文。
クーラーとしてわっぱに氷を敷き詰めた演出が素敵です。
私は温かいほうじ茶をお願いしましたが、食事とお茶の進み具合によって何度も湯飲みを交換してくれました。

最初の一皿は、寒竹の子と菜のり揚げ。
冬に採れるタケノコなのでしょうか、シャキシャキとして甘みがありました。

前菜の、新春盛肴。
竹の器には椎茸とキクラゲとキュウリの胡麻酢和え、それと猪の西京焼きに空豆。
猪はベーコンのような歯ごたえと香りです。

沢煮椀。
「具沢山」の意味も掛けているお椀物で、タケノコやウドなどの野菜が入った出汁に豚の背脂が散らしてあります。

お造りは、伊勢海老とヒラメとアオリイカ。
醤油と塩の他、伊勢海老の肝入りのソースが添えられ、いろいろなバリエーションが楽しめました。

鰆の炭火焼き。
小さな炭火コンロの網の上に乗った状態で運ばれ、部屋で盛り付けられます。
そのお皿もホカホカと温かく。
大根おろしには塩と大葉が混ぜてあり、小ぶりながら分厚い鰆を酢橘とおろしでいただきました。
家で焼く鰆とは明らかに何かが違う、と夫と感心しきり。

小さな湯飲みのような器で供されたのは、ずがに汁。
殻ごと砕いたモクズガニを長時間煮込んだもので、中には蓮芋が入っています。
濃厚なカニの風味。

大中寺芋とサバフグの衣揚げ。
大中寺芋は沼津周辺で採れる大型の里芋で、塩と辛子がよく合う上品な甘さ。
もうひとつは、本当はフグ白子のところ、内臓系が苦手な私のためにサバフグの身に替えてくれました。
どこへ行っても思うのが、おいしいものは大好きなのに少食胃弱で苦手食材が多く、色々と手間をかけてしまうのに完食できないという肩身の狭さと申し訳なさ。
健啖家の方々が本当に羨ましいです。

あさばの看板料理にもなっている、穴子黒米ずし。
真っ黒な古代米の黒米は修善寺の特産品として栽培され、この辺りの旅館や飲食店で提供されることも多いそうです。
少しプチプチとした雑穀の歯ごたえもある餅米といった感じで、穴子との組み合わせもとても気に入りました。

天城軍鶏たたき鍋は、仲居さんが部屋で調理してくれます。
少し粗めにたたいた軍鶏を箸で手早くまとめ、鍋の中に入れていく所作や手際の良さに見入ってしまいました。
こちらの主菜の一品は季節ごとに内容が変わりますが、軍鶏たたき鍋は秋から初春の比較的長い期間楽しめるとのこと。
春は田芹と太刀魚の吸鍋、夏は鮎の炭火焼きと鮎ご飯、秋は鱧と松茸の吸鍋と、どの季節も味わってみたくなります。

軍鶏も長ネギも絶妙な火の通りです。
好みで黒七味をかけても。

ここでご飯が登場しました。
お釜の中のご飯は見るからにつやつやの炊き上がり。

軍鶏を食べ終えた鍋の出汁の中に仲居さんが卵を溶き入れ、軽く煮立たせて火を止めます。

それをご飯にかけて玉丼のできあがり。
そんなのおいしいに決まっています(笑)
私はお腹がいっぱいでほんの少しにしてもらいましたが、夫はお代わりしていました。
カブのお漬物の盛り付けも何だかかわいいです。

甘味はメロン、くずきり、ブランマンジェがあり、夫はメロンを選択。

私が選んだブランマンジェは小ぶりで食後にちょうどよく、バニラ風味の優しい味でした。

最後にアイスクリーム。
この日はカボチャと、オレンジリキュールのグランマニエを使ったもの。
私がなかなか食べきらないので進行を遅めにしてくれたのだと思いますが、料理の間も空いたことで18時半から結局22時近くまでかかりました(笑)
いわゆる高級食材や派手なメニューはありませんが、どれも丁寧さが感じられ滋味深くしみじみとおいしい料理でした。

夕食後に仲居さんが再びお水やお茶セットを整え、食後のお茶菓子にパスタのかりんとうと蕎麦の実の金平糖を添えて退室。
仲居さんのお仕事は品の良さも手際の良さも求められ、本当に大変だなぁと頭が下がります。
大抵ぼんやりのんびりしている私には務まるはずもなく(笑)

翌朝、寝室からの眺めは薄いもやのかかった庭の風景。
冬枯れの枝に朝露の粒が乗って綺麗です。

居間から見える枝垂桜の枝も幽玄の趣き。
春に満開になる頃は、この木が正面に見える隣室「山吹」の指定が増えるそうです。

そして朝食。
クレソンの胡麻浸しと釜揚げしらす、おかかとわさびが最初に配膳されました。
ご飯は伊豆桂流米の新米とのこと。
(渓流米かと思ったら桂川を意味する「桂流コシヒカリ」という品種なんですね)
わさびとおかかを乗せ醤油を少し垂らして食べるのがおすすめということで、試してみたらこれが本当においしかった。
朝食でも、ふわふわの出汁巻き卵など温かいものは順次運ばれてくる形です。
大根と椎茸と手作り飛竜頭は、土鍋に入った状態から部屋での盛り付けでした。
そして貝類が苦手な私にはシジミの赤出汁の代わりに白味噌のお味噌汁、ありがたいです。

デザートの苺は紅ほっぺ。

ひとつひとつ丁寧にヘタが処理されているので、見た目も美しく食べやすいです。

最後に、黒豆で作った小さなお汁粉。
温泉で温まりそれなりに空腹で臨んだ朝食も、心地よく身体に染み渡り充分に満たされました。
あさば
http://asaba-ryokan.com/
夕食時間の少し前に担当の仲居さんが挨拶に来てくれました。
その後、私たちがロビーに出ている間に食事の準備を。

お箸の上に伏せて置かれた小さな豆皿は、食前酒のにごり酒を注ぐためのものでした。
お酒が飲めない私には、代わりに梅ジュース。

ナフキンに包んであった本日のお献立。
ご当主の手書きを印刷したものだそうです。

お酒のメニューに修善寺の地酒があったので、夫はそれを注文。
クーラーとしてわっぱに氷を敷き詰めた演出が素敵です。
私は温かいほうじ茶をお願いしましたが、食事とお茶の進み具合によって何度も湯飲みを交換してくれました。

最初の一皿は、寒竹の子と菜のり揚げ。
冬に採れるタケノコなのでしょうか、シャキシャキとして甘みがありました。

前菜の、新春盛肴。
竹の器には椎茸とキクラゲとキュウリの胡麻酢和え、それと猪の西京焼きに空豆。
猪はベーコンのような歯ごたえと香りです。

沢煮椀。
「具沢山」の意味も掛けているお椀物で、タケノコやウドなどの野菜が入った出汁に豚の背脂が散らしてあります。

お造りは、伊勢海老とヒラメとアオリイカ。
醤油と塩の他、伊勢海老の肝入りのソースが添えられ、いろいろなバリエーションが楽しめました。

鰆の炭火焼き。
小さな炭火コンロの網の上に乗った状態で運ばれ、部屋で盛り付けられます。
そのお皿もホカホカと温かく。
大根おろしには塩と大葉が混ぜてあり、小ぶりながら分厚い鰆を酢橘とおろしでいただきました。
家で焼く鰆とは明らかに何かが違う、と夫と感心しきり。

小さな湯飲みのような器で供されたのは、ずがに汁。
殻ごと砕いたモクズガニを長時間煮込んだもので、中には蓮芋が入っています。
濃厚なカニの風味。

大中寺芋とサバフグの衣揚げ。
大中寺芋は沼津周辺で採れる大型の里芋で、塩と辛子がよく合う上品な甘さ。
もうひとつは、本当はフグ白子のところ、内臓系が苦手な私のためにサバフグの身に替えてくれました。
どこへ行っても思うのが、おいしいものは大好きなのに少食胃弱で苦手食材が多く、色々と手間をかけてしまうのに完食できないという肩身の狭さと申し訳なさ。
健啖家の方々が本当に羨ましいです。

あさばの看板料理にもなっている、穴子黒米ずし。
真っ黒な古代米の黒米は修善寺の特産品として栽培され、この辺りの旅館や飲食店で提供されることも多いそうです。
少しプチプチとした雑穀の歯ごたえもある餅米といった感じで、穴子との組み合わせもとても気に入りました。

天城軍鶏たたき鍋は、仲居さんが部屋で調理してくれます。
少し粗めにたたいた軍鶏を箸で手早くまとめ、鍋の中に入れていく所作や手際の良さに見入ってしまいました。
こちらの主菜の一品は季節ごとに内容が変わりますが、軍鶏たたき鍋は秋から初春の比較的長い期間楽しめるとのこと。
春は田芹と太刀魚の吸鍋、夏は鮎の炭火焼きと鮎ご飯、秋は鱧と松茸の吸鍋と、どの季節も味わってみたくなります。

軍鶏も長ネギも絶妙な火の通りです。
好みで黒七味をかけても。

ここでご飯が登場しました。
お釜の中のご飯は見るからにつやつやの炊き上がり。

軍鶏を食べ終えた鍋の出汁の中に仲居さんが卵を溶き入れ、軽く煮立たせて火を止めます。

それをご飯にかけて玉丼のできあがり。
そんなのおいしいに決まっています(笑)
私はお腹がいっぱいでほんの少しにしてもらいましたが、夫はお代わりしていました。
カブのお漬物の盛り付けも何だかかわいいです。

甘味はメロン、くずきり、ブランマンジェがあり、夫はメロンを選択。

私が選んだブランマンジェは小ぶりで食後にちょうどよく、バニラ風味の優しい味でした。

最後にアイスクリーム。
この日はカボチャと、オレンジリキュールのグランマニエを使ったもの。
私がなかなか食べきらないので進行を遅めにしてくれたのだと思いますが、料理の間も空いたことで18時半から結局22時近くまでかかりました(笑)
いわゆる高級食材や派手なメニューはありませんが、どれも丁寧さが感じられ滋味深くしみじみとおいしい料理でした。

夕食後に仲居さんが再びお水やお茶セットを整え、食後のお茶菓子にパスタのかりんとうと蕎麦の実の金平糖を添えて退室。
仲居さんのお仕事は品の良さも手際の良さも求められ、本当に大変だなぁと頭が下がります。
大抵ぼんやりのんびりしている私には務まるはずもなく(笑)

翌朝、寝室からの眺めは薄いもやのかかった庭の風景。
冬枯れの枝に朝露の粒が乗って綺麗です。

居間から見える枝垂桜の枝も幽玄の趣き。
春に満開になる頃は、この木が正面に見える隣室「山吹」の指定が増えるそうです。

そして朝食。
クレソンの胡麻浸しと釜揚げしらす、おかかとわさびが最初に配膳されました。
ご飯は伊豆桂流米の新米とのこと。
(渓流米かと思ったら桂川を意味する「桂流コシヒカリ」という品種なんですね)
わさびとおかかを乗せ醤油を少し垂らして食べるのがおすすめということで、試してみたらこれが本当においしかった。
朝食でも、ふわふわの出汁巻き卵など温かいものは順次運ばれてくる形です。
大根と椎茸と手作り飛竜頭は、土鍋に入った状態から部屋での盛り付けでした。
そして貝類が苦手な私にはシジミの赤出汁の代わりに白味噌のお味噌汁、ありがたいです。

デザートの苺は紅ほっぺ。

ひとつひとつ丁寧にヘタが処理されているので、見た目も美しく食べやすいです。

最後に、黒豆で作った小さなお汁粉。
温泉で温まりそれなりに空腹で臨んだ朝食も、心地よく身体に染み渡り充分に満たされました。
あさば
http://asaba-ryokan.com/
- category:2020.01 修善寺(あさば)
- No
- 398
- Date
- 2020.02.01 Sat
あさば(部屋など)
いつか行こうと思っていた旅館のひとつ、修善寺のあさばに宿泊してきました。
冬には雪の舞うこともある中伊豆の修善寺ですが、よもやこの暖冬で雪不足の折、出かけるその日を狙ったように大雪注意報が発令されるとは(笑)
相変わらず雨男雪女疑惑の私たち夫婦です。
さすがに積もることはないだろうとは思いつつ、ノーマルタイヤしかない我が家の車で行くのは諦め、東京駅から特急踊り子号で修善寺に向かったのでした。
到着した時は雪も小雨に変わりほぼ止みかけていましたが、気温はかなり低く、修善寺駅から早々にタクシーに乗り込みました。

駅から修善寺の温泉街までは車で10分ほど。
路地に面した趣のある門構えが、あさばの表門です。
車はこの中に乗り入れるとバレーサービスで預かってもらえます。

玄関に掛けられた清々しい白と藍の暖簾は、季節ごとに掛け替えられるそうです。

広々とした玄関から柔らかな絨毯敷のロビーに入ると、窓からは池越しにかの有名な能舞台が見えました。
あさばに来たんだなぁと実感します。

予約した「撫子」の部屋は2階の一番奥。

部屋に入ると、間取りの簡単な説明の後、熱いおしぼりとお茶とお菓子を出してくれました。
自家製の麩饅頭は出来たてでもちもちです。

「撫子」は元々二部屋だった客室を一部屋に改装したそうで、部屋だけでなく内廊下も広々としています。
入口から入ってすぐ右手の引き戸が寝室です。
奥の居間にいると、入口のノックの音が遠すぎて聞き逃しそうになるほど(笑)

寝室は18畳。
奥の窓から差し込む日差しと手前のベッドエリアの落ち着いた陰影が好対照です。

枕元の長い棚がいろいろ置けて機能的。
就寝前には冷たいお水のポットとグラスも用意してくれます。
ふわふわのお布団には、夜寝る前に足元に湯たんぽがセットされていました。

ブラインドの開閉やエアコンの調整は、ベッドの間にあるスイッチで。

余計な物や飾りがなく、全体的にすっきりした空間でとても落ち着けます。
テレビも大きすぎず控えめに。

奥には大きな窓のある和風サンルームのような広縁。
正面の窓からは新しくできた離れの「天鼓」の屋根や中庭が見えました。

広縁側から見た寝室。
正面の障子戸の奥がバスルームです。

洗面エリアも色数やデザインが抑えられていて、シンプルで気持ちがいい。

浴衣はチェックインの時にサイズを確認し、それぞれに柄違いの2枚ずつを用意してくれます。
私のは紺色のトンボ柄と白紺の細かいよろけ縞で、どちらも古典的ながら可愛らしさもある柄でした。
他には、袖なしの羽織と厚めの丹前と足袋。
更にバスローブや上下セパレートのパジャマも用意してあり、私の好みとしてはもう100点満点です(笑)

洗面台のアメニティは「あさば」の文字入りの白い箱で統一されています。
シャンプー類は「THEMAE」。

タオルも十分な数でした。
それでも朝食後に交換の必要がないか聞いてくれます。

洗面所の奥にはガラス戸のバスルーム、その左側の扉はトイレです。

浴槽も湯桶も椅子も真っ白。
白木は手入れが大変そうですが、新築でもないのにこの清潔感は素晴らしいです。

かけ流しではないものの、すぐ入れるように湯船にはお湯が張ってありました。
水道から出るお湯が温泉なので、冷めたら足して調整できます。
この部屋のお風呂は生活道路側のため、窓はすりガラスになっていました。

寝室から廊下に出ると、右手の障子戸がもう一つの洗面所。
更にその奥の右手が居間の入口です。

洗面所の引き戸を開けると小さな冷蔵庫があり、中には有料のビールやお水やジュースなど。

こちらの洗面台にも歯ブラシやせっけんなどがありました。
大きな窓があるので明るく、朝はこちらの方が使いやすいです。

廊下にある2つ目のトイレ。
確かにちょうど二部屋分のつくりです。
さすがにお風呂は一箇所撤去したのでしょうか。

居間の手前にある3畳の前室。
右側の観音開きの扉はクローゼットです。

その奥には8畳の居間と、窓側に広縁。
角部屋なので抜け感があり広く感じます。
紅葉の季節など窓からの眺めも綺麗でしょうね。

床の間には淡い色調の掛け軸。
1月らしい生け花も素敵です。
この部屋には寝室より小さめのテレビが、奥ゆかしく扉の奥に隠してありました。

居間より一段低く設えられた広縁。
ここが一番居心地の良い場所でした。
水の流れる音を聞き、池を眺めながら、ただただぼーっとして過ごせます。

窓から見える、池と灯籠。
池の奥には藤棚も。

右手には山の斜面を流れ落ちる滝が。
色彩は乏しくとも、冬枯れの眺めも侘び寂び感があって悪くないものです。

昼下がりの野天風呂から戻ってきた夫が、早速冷蔵庫にあった修善寺の地ビールを開けました。
何もせずゆるゆると過ごす贅沢な時間です。
あさば
http://asaba-ryokan.com/
冬には雪の舞うこともある中伊豆の修善寺ですが、よもやこの暖冬で雪不足の折、出かけるその日を狙ったように大雪注意報が発令されるとは(笑)
相変わらず雨男雪女疑惑の私たち夫婦です。
さすがに積もることはないだろうとは思いつつ、ノーマルタイヤしかない我が家の車で行くのは諦め、東京駅から特急踊り子号で修善寺に向かったのでした。
到着した時は雪も小雨に変わりほぼ止みかけていましたが、気温はかなり低く、修善寺駅から早々にタクシーに乗り込みました。

駅から修善寺の温泉街までは車で10分ほど。
路地に面した趣のある門構えが、あさばの表門です。
車はこの中に乗り入れるとバレーサービスで預かってもらえます。

玄関に掛けられた清々しい白と藍の暖簾は、季節ごとに掛け替えられるそうです。

広々とした玄関から柔らかな絨毯敷のロビーに入ると、窓からは池越しにかの有名な能舞台が見えました。
あさばに来たんだなぁと実感します。

予約した「撫子」の部屋は2階の一番奥。

部屋に入ると、間取りの簡単な説明の後、熱いおしぼりとお茶とお菓子を出してくれました。
自家製の麩饅頭は出来たてでもちもちです。

「撫子」は元々二部屋だった客室を一部屋に改装したそうで、部屋だけでなく内廊下も広々としています。
入口から入ってすぐ右手の引き戸が寝室です。
奥の居間にいると、入口のノックの音が遠すぎて聞き逃しそうになるほど(笑)

寝室は18畳。
奥の窓から差し込む日差しと手前のベッドエリアの落ち着いた陰影が好対照です。

枕元の長い棚がいろいろ置けて機能的。
就寝前には冷たいお水のポットとグラスも用意してくれます。
ふわふわのお布団には、夜寝る前に足元に湯たんぽがセットされていました。

ブラインドの開閉やエアコンの調整は、ベッドの間にあるスイッチで。

余計な物や飾りがなく、全体的にすっきりした空間でとても落ち着けます。
テレビも大きすぎず控えめに。

奥には大きな窓のある和風サンルームのような広縁。
正面の窓からは新しくできた離れの「天鼓」の屋根や中庭が見えました。

広縁側から見た寝室。
正面の障子戸の奥がバスルームです。

洗面エリアも色数やデザインが抑えられていて、シンプルで気持ちがいい。

浴衣はチェックインの時にサイズを確認し、それぞれに柄違いの2枚ずつを用意してくれます。
私のは紺色のトンボ柄と白紺の細かいよろけ縞で、どちらも古典的ながら可愛らしさもある柄でした。
他には、袖なしの羽織と厚めの丹前と足袋。
更にバスローブや上下セパレートのパジャマも用意してあり、私の好みとしてはもう100点満点です(笑)

洗面台のアメニティは「あさば」の文字入りの白い箱で統一されています。
シャンプー類は「THEMAE」。

タオルも十分な数でした。
それでも朝食後に交換の必要がないか聞いてくれます。

洗面所の奥にはガラス戸のバスルーム、その左側の扉はトイレです。

浴槽も湯桶も椅子も真っ白。
白木は手入れが大変そうですが、新築でもないのにこの清潔感は素晴らしいです。

かけ流しではないものの、すぐ入れるように湯船にはお湯が張ってありました。
水道から出るお湯が温泉なので、冷めたら足して調整できます。
この部屋のお風呂は生活道路側のため、窓はすりガラスになっていました。

寝室から廊下に出ると、右手の障子戸がもう一つの洗面所。
更にその奥の右手が居間の入口です。

洗面所の引き戸を開けると小さな冷蔵庫があり、中には有料のビールやお水やジュースなど。

こちらの洗面台にも歯ブラシやせっけんなどがありました。
大きな窓があるので明るく、朝はこちらの方が使いやすいです。

廊下にある2つ目のトイレ。
確かにちょうど二部屋分のつくりです。
さすがにお風呂は一箇所撤去したのでしょうか。

居間の手前にある3畳の前室。
右側の観音開きの扉はクローゼットです。

その奥には8畳の居間と、窓側に広縁。
角部屋なので抜け感があり広く感じます。
紅葉の季節など窓からの眺めも綺麗でしょうね。

床の間には淡い色調の掛け軸。
1月らしい生け花も素敵です。
この部屋には寝室より小さめのテレビが、奥ゆかしく扉の奥に隠してありました。

居間より一段低く設えられた広縁。
ここが一番居心地の良い場所でした。
水の流れる音を聞き、池を眺めながら、ただただぼーっとして過ごせます。

窓から見える、池と灯籠。
池の奥には藤棚も。

右手には山の斜面を流れ落ちる滝が。
色彩は乏しくとも、冬枯れの眺めも侘び寂び感があって悪くないものです。

昼下がりの野天風呂から戻ってきた夫が、早速冷蔵庫にあった修善寺の地ビールを開けました。
何もせずゆるゆると過ごす贅沢な時間です。
あさば
http://asaba-ryokan.com/
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