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category :2015.03 軽井沢(万平ホテル)

旧三笠ホテル

万平ホテルのチェックアウト後、タクシーで旧三笠ホテルへ向かいました。
前日ほどではないにせよ寒い冬空に、折からの小雪が雨となり、どこか行くなら屋内がいいよねということで。
夫も私も、初めての訪問です。

旧三笠ホテルは、明治後期に建造された木造の純西洋式ホテルです。
多くの要人や文人に愛され、軽井沢の鹿鳴館と呼ばれましたが、昭和45年に営業を終了し、移転を経て国の重要文化財となり保護されています。



敷地に入って左手の事務所で入場料を払い、右手のコインロッカーに大きな荷物を預けました。
軽井沢の定番スポットですが、やはり観光客はまばらでした。



建物の正面入口。
万平ホテルとはまた違った雰囲気の洋館です。



入口から中に入ると、左右対象に長い廊下が伸びており、正面には上階へと続く階段がありました。
ここで靴を脱いでスリッパに履き替えるよう案内が書かれています。
古い木造の建物内は底冷えするほどの寒さで、少しでも暖かい場所へ行こうという私たちのアテは完全に外れました(笑)



入口の右手にある資料室には、竣工当時の模型が置いてありました。
当初は入口の上にバルコニーが付いていたんですね。
資料室外の廊下では、ホテルオリジナルのマグカップや手ぬぐいなどのサンプルがケース内に展示されていて、事務所で買えますとのこと。
夫がマグカップのデザインを気に入って、帰りに買っていました。



こちらは、ホテルのフロントとロビーを再現した部屋。



重厚なソファや優雅な長椅子、木のテーブルセットなどが置かれています。



窓枠のてっぺんにあるカーテンボックスには、ホテルオリジナルのエンブレム。
円の中に3つの笠と、三笠ホテルのイニシャルMとHがデザインされています。
客室でも、クローゼットやライティングデスクなどあちこちに同じマークが付いていました。



木製のキーボックス。
西洋文化に倣い、13号室はありません。



客室のひとつ。
この部屋はツインルームに洋式のバストイレがついていました。



お隣は、明るいサンルームのついた部屋。
広さも機能も、部屋によってまちまちのようです。



どの部屋も窓が大きく取られていて、室内に光があふれています。



洗面台やトイレのない部屋向けでしょうか、廊下には洗面所や、いくつかの個室が並ぶお手洗いもありました。
当初からすべて水洗だったというから先進的です。



1階の部屋を見終わり、中央の階段を2階へ。



階段の上には、当初存在していたバルコニーに出る扉がありました。
バルコニーは何らかの理由で撤去されてしまったそうです。



あのソファ、いいなぁ。
照明器具のガラスのピンク色とあいまって、かわいらしい雰囲気です。



2階にもたくさんの部屋がありました。
寝室とリビングが分かれたスイートタイプが多いようです。
暖炉のある部屋も多く、軽井沢では夏でも朝晩冷える日には暖炉に火を入れたとのこと。



寒いのでだんだん足早になってきました(笑)
それでも、廊下のつき当たりに置かれたカフェテーブルやアーチ状にくり抜かれた通路など、つい足を止めて見入ってしまいます。



他に人もいないので、部屋から部屋へと好き勝手に見て回るうちに、夫がどこにいるのかわからなくなったり(笑)



3部屋続きになっている客室もありました。
VIP向けだったのかな。



一番奥の寝室にはベビーベッドが置いてあり、何だかちょっと和みました。
もちろん当時使われていた家具ばかりではなさそうですが、どんな人たちがこの部屋を利用していたのだろうと想像が膨らみます。



客室の窓から見える風景。
夏に窓を開けたら心地よい風が通り抜けそうです。



寒い寒いと言いながら、かなり長い時間を過ごしてしまいました。
被写体があるとしつこく食いついてしまう、私たちの悪いクセです(笑)
階段を下り、スリッパから自分の靴に履き替えると、薄手の靴下では再び飛び上がるほどの冷たさでした。



そういえば、スタジオジブリの「風立ちぬ」に出てくる草軽ホテルは、旧三笠ホテルか万平ホテルをモデルにしているという説がありますが、どうなのでしょうね。
他にも、上高地帝国ホテルの方が似ている!という声もあるようで(笑)
「ジブリ映画のモデル」という噂は本当にいろいろありますが、推測して楽しむくらいがいいのかもしれません。

目の前の通りにはバス停もありますが、本数が少なそうだったので、電話でタクシーを呼びました。
何だかんだで小一時間、すっかり冷え切った体に暖房のきいたタクシーは天国に思えました(笑)
ちなみに帰り際、チケットを売る事務所の壁に「見学所要時間15~20分」と書いてあるのに気がつき、夫と苦笑い。



軽井沢駅のロッカーに荷物を預け、裏手にある広大なアウトレットモール、プリンスショッピングプラザに向かう通路。
少し先にはスキー場のリフトが見えています。
ゲレンデがあんなに近いんだもの、そりゃ寒いわけだと妙に納得。
いっそこの次はスキーしに来ようかな。

新幹線の時間までアウトレットを回り、イッタラやロイヤルコペンハーゲンで物欲と戦っているうちに、雨混じりだった空もようやく少し晴れてきました。
そして、シーズンオフで寒かろうが街が閑散としていようが、アウトレットにはこれでもかと人が集まっていて驚きでした。



この日は北陸新幹線の開通1週間前でしたが、最近テレビでよく見る新型車両は既に長野東京間でも走っていました。
東京までの1時間、何だかちょっと得した気分です。


旧軽井沢銀座

万平ホテルから、林に囲まれた別荘地を抜け、旧軽井沢銀座へ向かいました。
徒歩10分程度の距離ですが、手袋なしでは手がかじかむ寒さです。
学生時代に合宿で来た時のことを思い出し、冬だから多分閉まってるお店も多いんだろうね、と話しつつ。



テニスコートの横を過ぎ、旧軽銀座の裏通りに出ました。
この辺りのお店はほとんど閉まっているようです。
「ただいま冬眠中」なんて書かれた紙が戸口に貼ってあったり(笑)
そんな閑散とした路地の奥に諏訪神社の入口が見えたので、ちょっと覗いてみることにしました。



こじんまりとしていますが、木々に囲まれて凛とした佇まいの諏訪神社。
夫と並んで、ニ礼ニ拍手一礼。
ようやく今年の初詣です(笑)
境内のすぐ隣にはユニオンチャーチが建っていて、異教徒が自然に混じり合う軽井沢らしい風景。



諏訪神社から戻り、テニスコート通りへ。
ここにも冬季休業のお店が並びます。



軽井沢観光会館に到着。
旧軽銀座に出ると、急に道幅が広くなりました。



季節柄とこの寒さで、さすがに軽井沢きっての目抜き通りもあまり人通りがありません。
が、通り沿いのお店はほとんど営業していました。
東京でも人気のパン屋さん、浅野屋。
その向かいには、ジョン・レノンが常連だったというフランスベーカリー。



レトロな軽井沢写真館。
そういえば学生時代に来た時も、こんな感じのお店があったような気がします。
梅宮辰夫のお漬物とかとんねるずのグッズ店とか、昔そんなのいろいろあったよねー、ってもう何年前の話だ(笑)



あらかわいい、と目を惹かれたセルフィユというお店の入口。



ナチュラル系の雑貨屋さんのようなディスプレイです。
パッケージもシンプルで素敵。
店内には女性客が何人かいて、あれこれ試食したりスタッフに質問したりしていました。



そして当然のごとく衝動買い(笑)
看板商品のプリンジャムは、スイートやビター、紅茶、抹茶など何種類かあるようです。
それだけで食べるにはちょっと濃いプリン、といったところ。
試食がおいしかったので、ビタータイプとクラッカーのセットを買ってみました。



通りには、軽井沢の特産品や雑貨などを売る店がずらりと並んでいます。
乳製品が売られている横には牛さんが。



かわいい豚さんもいます。
横にはおいしそうな肉まんのサンプルが置いてあって、ちょっとシュール(笑)



ハチミツのお店もたくさんありました。



あ、ミカドコーヒー。
ここはすごく見覚えがありました。
たぶん学生時代にみんなで来たのでしょうね。
モカソフト、食べたいけれど寒すぎて無理でした。



そして、ロータリーの近くにあったジャム屋さんの沢屋。
奥に細長い店構えに、ずらりと並ぶさまざまなジャムの瓶。
ここも昔、夫や友人たちとみんなで来たお店です。
友人が「ツルコケモモのジャムはないですか?」と聞いたら「ツルコケモモなんか日本で作ってない。うちは国産の果物しか使わないんだ。」とお店の人に怒られた話は、今だに仲間内での語り草です(笑)



今でも国産の旬のフルーツしか使わず、なくなったらその年はおしまいというこだわりのジャム。
実は自宅そばのスーパーでも、沢屋のジャムは何種類か売られています。
特にオレンジママレードのおいしさは別格で、ここのしか買わないのですが、何しろよく売り切れるので、軽井沢でもっと買ってきてもよかったかも(笑)
東京では見たことがない商品もたくさんありました。
いちごミルクジャムは台湾で人気なのでしょうか、台湾語のPOPが付いていました。
くるみバタークリームは国産くるみの減少で、今では希少商品だそうです。
意外にもきゃらぶきやなめたけ、ピクルスといった商品もありました。

親切で気さくなお店の人と言葉を交わし、来た道を戻ります。
もちろん昔とは違う人でしたが、夫は「ツルコケモモあるかどうか、聞いてみりゃよかったな」なんて言っていました(笑)



旧軽銀座から一本横道に入って行くと、聖パウロカトリック教会があります。
コンクリートと木の調和が美しい教会です。



特徴的な三角屋根。
ここも来たことがある気がします。
中にも入れるようでしたが、お祈りされる方はご自由に中へどうぞと書いてあり、なんだか邪魔してしまいそうで遠慮しました。



誰だったか後輩がこの像の前で、同じポーズで写真を撮っていたのを、唐突に思い出しました(笑)
世間知らずでいろいろバカなことや無茶をして、でもそれなりに一生懸命で楽しかったよなぁと、ひとしきり学生時代を思い出す旧軽散歩でした。

万平ホテル(食事)

万平ホテルに到着したのはチェックイン前の時間だったので、フロントに荷物を預け、まずはカフェテラスに入ってみました。
夏には外部からの利用客でとても混雑するそうですが、さすがに寒い時期のためかお客さんも数えるほどです。



外に向かって窓が大きく取られた明るいカフェ。
真ん中と両端に大きなストーブが置いてあります。



お好きな席へどうぞとのことで、窓際に席をとりました。



テーブルの上には伝票代わりの札が。
万平ホテルのシンボルになっているすずらんの絵が可憐です。



小雪が舞い、霧も出ている寒い日ですが、思う存分のんびりできるのはシーズンオフのいいところ。



お昼を過ぎていたので、夫はサンドイッチとコーヒーのセットを。
この食器の絵もすずらんモチーフでしょうか。



私はロイヤルミルクティーをオーダーしました。
元々メニューになかったのを、ジョン・レノンが滞在中にリクエストし、レシピを教えたのが始まりだそうです。
ほんのり甘く、優しい味でした。



それと、昔ながらのカスタードプリン。
見た目もかわいらしく、正統派のプリンです。
有名なアップルパイも食べてみたかったですが、それはまたの機会に。



夕食はホテルのメインダイニングでフレンチを。
大正時代から使われているという、とても美しいメニューカードです。
かなりお手頃な宿泊プランを利用したので、一般のコースよりも軽めの内容だと思います。



パン用のお皿には、淡い色彩のすずらんの絵。



こちらでも各テーブルに札が置いてありました。
番号ではなく、花の絵の種類でテーブルを区別しているようです。



床も天井も、重厚な雰囲気のダイニング。
客層はカップルから家族連れまでさまざまですが、年齢層は少し高めで落ち着いた雰囲気です。



パンは、米粉とバターの2種類。
両方食べた夫によると、どちらもほんわり温かくてもっちりとした、おいしいパンだったそうです。



前菜は、信州サーモンのマリネの薄切り、サラダ仕立て。
サーモンは1枚の大きなスライスで、食べ応えがありました。



ビーフコンソメ、野菜浮かし。
小さなカップに入ったスープには、ズッキーニなどの野菜がたくさん入っています。



鯛のポワレ、トマトソース。



オーストラリア産牛フィレ肉のポワレ、赤ワインソース。
とても柔らかく、おいしいお肉でした。
ただ、下戸の私にはソースの赤ワインが少し効きすぎていたかな。
お魚もお肉もかなり小さめのポーションで、私は嬉しかったですが、夫はちょうどいい量だと言いつつ少し物足りなそうな雰囲気も。



デザートは、チョコレートのケーキに洋梨のアイスクリーム。
これもそれぞれほんの一口という感じでしたが、おいしくいただきました。
全体的に量が少ないので、普通のフルコースを簡単に完食する人ならば、追加オーダーが必要なくらいかと(笑)



食後の紅茶でほっと落ち着きました。
ごちそうさまでした。



ダイニングルームを出ると、ロビーからはカフェテラス越しに外のライトアップが見えました。
粉雪を照らしだす暖かな光がきれいです。



朝食は、チェックインの時に和食か洋食かを選びます。
夜がフレンチだしね、と和食を選択。
宿泊客数の関係か、朝食も夜と同じダイニングでした。



今朝の札は赤いユリの花です。



あっさりといただける和朝食。
同じく和食を食べていた隣のテーブルのダンディーなおじさまが、
「ここの朝食は飛び抜けておいしすぎないし、食べ過ぎないから身体にいい。」
なんて、褒めてるのかけなしてるのか。
夫と二人でちょっと笑ってしまいました。
洋食だと、卵料理をオーダーできるようです。



各テーブルには、春を呼ぶ菜の花が1輪ずつ。
食後は部屋に戻って温かいコーヒーを淹れ、窓の外の雪を眺めながら、チェックアウト時間までのんびり過ごしました。


万平ホテル
http://www.mampei.co.jp/

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AKI:
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